2024.04.16

インタビュー

【中村 里砂】魂の自立[敗れた日の私小説]

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【中村 里砂】魂の自立[敗れた日の私小説]

もともと自分に自信がなくて、モデルになる前は写真を撮られることも苦手だったし、人前に出ることもできないタイプでした。

鏡の前に長時間いるのも苦痛で、美容院に行かなくていいように自分で黒染めしてひたすら伸ばしていたり…。
自信がないのは見た目だけの話じゃなく経験値不足でもあり、例えば恋愛をしても視野が狭いせいで苦しんだり、傷付いたことをずっと引きずったり…。考え方もネガティブだし、悪い方向に考えてばかりだった。

振り返ってみれば、そんな時代からマインドが激変していると感じるのですが、自分に自信を持たせてくれて前向きな気持ちが持てたのは、今まで生きてきた経験値がすべてだと思っています。

コツコツやってきた努力は全部自信につながるし、たくさんの経験や出会いは視野を広げてくれる。いろんな人の考えを知ることで、正解が一つじゃないことを教わった気がします。

モデルを始めてからもしばらくはあまり自分に自信がなかったので、痩せて細くなってみたりメイクで盛ってみたり、「可愛い」の「一つしかない正解」みたいなものに近づくようにして、周りになじむことを意識してたように思います。どれだけ評価されても反応をもらっても、自分の頭の中にある理想しか見えてなくて、自分を客観視してちゃんと受け取ることや自信につなげることができていなかった。自分がありのままでいるだけで、持っている個性や魅力
に気づけて大事にできていなかったんです。
でも今は、何年も経ってトレンドの移り変わりがあって、「可愛い」の正解なんてないことや今まで当たり前だと思われてたことがすっかり変化する場面も見てきました。昔の「こうじゃなきゃ可愛くない」みたいな概念って、今はもうほとんど残っていませんよね。
そうなると、『カテゴライズされたものや既存の憧れに寄せていくより、自信を持ってオリジナルでいて、それが受け入れられて好きになってもらえたらそれが1番良い!』と思うようになりました。

「可愛い」は人と比べるものじゃないし、そもそも人の好みってさまざまですから。『一体、誰の好みに合わせて生きればいいの?』っていう話です(笑)。もちろん自分ですけど。
自分の好きな自分でいることは、かなり大切にしています。誰かを目指すわけじゃなくて、あくまでも自分の好みに近づくために 努力して、結果が返ってくることがモチベーションになってる。どうやっても他人にはなれないわけだから、じゃあこの自分を大事にして楽しませようと。ルックスに多少気になることがあったとしても、それはコンプレックスには入りませんし、人に何か指摘されたとしてもまったく関係ないことなの
で、一切気にならなくなりました。

また、顔の皮膚の上の数ミリレベルの話を突きつけられたとき、私はいつか骨になる自分をイメージしてどうでもよくなってしまいます。骨になったら残らないのに…と。ネガティブな感情をバネに成長することもすばらしいですが、内面で自分を否定していようが肯定していようが表面上は変わらないので、だったら自己肯定感が高いほうが心にとっては幸せかもしれないです。


ー 前向きな気持ちは人生の経験値が生み出してくれます

ポジティブマインドになってからは、辛いことがあっても、すべて経験になると思ってプラスに考えるようになりました。自分の身に起こったことに対処するのは、1番熱量を持って考えて行動することができるので、そのとき学んだことがとても身につきます。それに、トラブルの規模が大きくなっていくほどに、小さな困難にいちいちショックを受けなくなるんですよね。
相手と自分の考えや価値観、能力は違うことが当たり前ですので、「それぞれ違う目的や意思を持った人間」ということを思い出すと、怒りの感情も湧きません。他人を知ることが自分を知ることであり、その知識は自分の心を救う大きな役割になっているはずです。

(PECHE 005)
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雑誌『PECHE』とは、“私”を生き抜くためのビジュアルmag。 ずっと眺めていたくなるような眼福なビジュアル本であり、様々な毎日を過ごす中で一歩踏み出す勇気になるような言葉もたくさん詰まった、お守りのような本でもあります。